2005 年 14 巻 2 号 p. 361-368
本研究の目的は, 深海や深部地下などに代表される極限環境の現場において使用することのできる遺伝子解析装置の開発である。遺伝子解析の対象は, それらの環境中に生息する微生物(細菌および古細菌)である。本研究を通してROV(Remotely Operated Vehicle)やAUV(Autonomous Underwater Vehicle)によって現場に持ち込むことのできる様な小型の遺伝子解析装置が開発されれば, 深海現場において汚染のないサンプルを用いた長期連続遺伝子解析が可能となり, これまでの解析手法では得ることが困難であった情報を得ることができると期待できる。本研究では, 特に遺伝子解析において中心的な反応であるPCR(Polymerase Chain Reaction)を行う装置を製作する方法として「マイクロ加工技術」を応用することで, 小型の遺伝子解析装置のプロトタイプを製作し, 評価を行なった。その結果, 長時間にわたって安定かつ連続的な遺伝子断片の増幅が可能であることが確認できた。また30MPaまでの高圧力条件下においても, PCR法による遺伝子増幅が可能であることが明らかとなった。