2001 年 27 巻 5 号 p. 581-587
本研究は,吸収式冷凍機吸収器・蒸発器内の不凝縮性ガス非定常拡散挙動について非定常2次元計算を行い検討した.特に,不凝縮性ガスの初期条件による差異について注目し,実験結果との比較を行った.その結果,不凝縮性ガスが初期条件として容器内に一様に分布する場合には,不凝縮性ガスの平均濃度が5vol%まで,吸収器の総括熱伝達率の減少が顕著ではないのに対し,不凝縮性ガスを実験と同様に蒸発器上方の一点より注入した場合には,不凝縮性ガスの平均濃度が3vo1%の場合においても非常に低い総括熱伝達率を示し,実験結果と面致した.したがって,不凝縮性ガスの拡散挙動には,初期分布の影響があることがわかった.また,不凝縮性ガスの非定常拡散挙動を詳細に調べた結果,注入条件では,高濃度の不凝縮性ガスの存在により,吸収器上部の吸収能が急減し,一様分布の場合に観察された不凝縮性ガスを取り込む循環領域が崩壊するため,低濃度で総括熱伝達率が急減することがわかった.