2001 年 27 巻 5 号 p. 593-598
高汎用性・環境低負荷型産業廃液処理システムの実現に向け,同軸三重円管型気液混焼バーナーに循環流動層・尿素水溶液噴霧による脱硝を組み合わせた廃液焼却システムを提案した.廃液焼却時に排出が予想されるNOxおよびSO2に着目し,以下の検討を行った.まず,尿素水溶液噴霧下における脱硝特性におよぼす固体粒子の影響について検討した結果,粒子による温度低下が尿素による脱硝効果を阻害するが,粒子の供給位置および供給速度の制御によって脱硝効果の低下を大幅に軽減できることが明らかになった.次に,石灰石による,Ca/S比と乾式脱硫特性との相関を求めた.本実験においては,およそCa/S=5.0で脱硫率は約93%に達した.このような脱硫率の挙動は脱硫剤粒子内既反応層の有効拡散係数を仮定したモデルにより説明しうることが明らかとなった.以上の結果から,石灰石投入による本システムにおける同時脱硫・脱硝の可能性が示された.