2001 年 27 巻 6 号 p. 678-682
逆ミセルの内水相を微小反応場とする超微粒子調製プロセスについて,反応場が細分化されていることが粒子の生成機構に与える影響を評価するため,逆ミセル系および均一水相系におけるCdS超微粒子の凝集速度を解析した.水相系における急速なCdS超微粒子の凝集は粒子表面に吸着する水溶性チオールリガンドを系に添加することで抑制した.チオールリガンドの添加は逆ミセル系におけるCdS粒子の凝集速度も低下させた.逆ミセル内の各微小内水相が高速な内容交換により遅い反応に対してはあたかも連続しているように振る舞うと考える擬連続相モデルにしたがって,逆ミセル系と水相系の凝集速度を比較した.その結果,逆ミセル径が粒子径と同程度に小さい低含水率の条件を除き,両系の速度定数はほぼ等しいことが明らかになった.