化学工学論文集
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[特集] 液相系における構造形成と機能化
エントロピー駆動の秩序構造形成に関する統計力学的解析
神尾 和教木下 正弘
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2001 年 27 巻 6 号 p. 683-689

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抄録

小コロイド粒子–大コロイド粒子系の相分離挙動,低分子(小粒子)集団中における生体高分子(大粒子)と生体膜(表面)間の相互作用を研究対象とし,積分方程式論に基づく解析を実施した.ただし,排除容積効果あるいはエントロピー駆動(小粒子にとっての排除容積をできる限り減少させ,系のエントロピ-を増加させようとする効果)による秩序構造形成を浮き彫りにすることができる単純化モデルを用いた.相互作用の解析では,小粒子の充填率,大粒子の大きさ,表面の曲率,小粒子集団の中に少量のやや大きな粒子(別の低分子)が共存すること,小粒子間の引力相互作用の存在などの影響を調べた.その結果,大粒子の大きさと表面の曲率間に,かなりの“Specificity”が生じることなどの興味深い情報を得た.「鍵と鍵穴」間の相互作用や,タンパク質のフォールディングなど,生体系における種々の高度な秩序化現象における排除容積効果の重要性に注目し,今後の展望について述べた.

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© 2001 公益社団法人 化学工学会
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