2001 年 27 巻 6 号 p. 742-748
熱誘起相分離法によるPMMA/cyclohexanol溶液からの多孔構造の成長に対するクエンチ温度,高分子濃度および冷却速度の影響をCahn-Hilliardのモデルに基づいたスピノーダル分解のシミュレーションにより検討した.クエンチ温度が高い,あるいは高分子濃度が低いほどスピノーダル分解による分相構造のドメインサイズは増加した.冷却速度を変化させた場合,冷却速度が大きいほど滴構造が生成する温度が低下するため,分相構造のサイズは減少した.
クエンチ温度,高分子濃度,冷却速度に分布を与えて分相構造成長のシミュレーションを行った.同一の分相構造内においても,温度,高分子濃度の変化により生成する構造の大きさが異なるため,非対称構造の成長が観測された.