2001 年 27 巻 6 号 p. 756-760
これまで,例えばエタノールの脱水など,原2成分系に均一系共沸点が存在する系の成分分離には,新しく不均一3成分系共沸混合物を形成するあるエントレーナーを加え,通常の蒸留塔2本から構成される2塔共沸蒸留システムにより原2成分系の成分分離が常用されてきた.本報では通常の3成分系分離に対してWrightらが示した垂直分割型カラムに改良を加え,従来の2塔システムとは異なり,単に1本の塔のみで共沸蒸留が可能な,塔頂にコンデンサー1基,塔底にリボイラー2基をもつ新しい垂直分割型共沸蒸留塔を提案する.そして,シクロヘキサンをエントレーナーとしたエタノ-ル脱水を例にとり,シミュレーションにより従来の2塔システムと比較し,本塔の有用性を示す.特に,90wt%エタノール原液を脱水する場合,従来法より,約7%の省エネルギー効果が期待できることを確認した.