抄録
水難溶性薬物の溶解促進を目指す薬物粒子微細懸液の調製と, その長期安定保存を目的とする凍結乾燥再水和処理による微細懸濁液の粒子径の保持に及ぼす糖類の添加効果について調べた. 水難溶性薬物グリセオフルビンをモデル薬物として用い, その大豆水添レシチンとの混合物を超高圧乳化分散することで, 懸濁粒子径は約60 nmにまで微細化した. このものの凍結乾燥再水和物は, とくにスクロース, トレハロースおよびキシリトールを添加した場合, 元の平均粒子径に近い微細懸濁液に復元した. 復元に必要な最少の糖濃度は糖により異なるが, 三種の糖ではそれぞれ3, 3および5 wt%の値を示した.