化学工学論文集
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安全,環境,エネルギー
高温高圧水処理による植物性タンパク含有廃水の生物分解性の向上
藤田 昌史Kyoungrean KIM大門 裕之藤江 幸一
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2004 年 30 巻 1 号 p. 87-90

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抄録
植物性タンパク含有廃水の生物分解性を短時間で向上させる方法として, 高温高圧水処理の適用の可能性を検討した. まず, モデル廃水として豆乳を用いた. 300℃, 9 MPaで7.4分間の処理を行ったところ, BOD1は未処理の豆乳より約2倍高い値を示し, 生物分解速度の向上が認められた. 分子量分布を測定したところ, 低分子化が進んでいたことがわかった. また, 未処理の豆乳のD-BOD5/D-CODCr比が0.54であったのに対し, 処理後には0.80にまで達していた. 生物分解性が向上したと判断される. 次に, 実廃水として豆腐製造廃水を用いて, 上記と同様の条件で処理を行った. 豆腐製造廃水のD-BOD5/D-CODCr比が0.49であったのに対し, 処理後には0.70にまで達していた. 以上のことから, 既存の生物処理プロセスの前段で植物性タンパク含有廃水の生物分解性を短時間で向上させる方法のひとつとして, 高温高圧水処理が有効となることが明らかとなった.
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© 2004 公益社団法人 化学工学会
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