化学工学論文集
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プロセスシステム工学,安全
部分分数展開を用いたむだ時間系の同定
内田 正教今枝 正夫橋本 強二
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2005 年 31 巻 4 号 p. 266-272

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抄録

本論では,新しいむだ時間系同定法として部分分数展開法を提案する.プラントの制御系設計において,プラントの正確な同定は非常に重要である.しかし,化学プラントの多くはむだ時間を有し,既存の同定法では正確な同定が困難であった.
部分分数展開法では,まずプラントの特性調査用モデルを入出力データから求め,そのモデルからプラント伝達関数を推定する.特性調査用モデルとは,次数をプラント次数より大きく設定したパラメトリックモデルである.プラント次数は一般に未知であるため,いったんこのようなモデルを求める.モデルは冗長にプラント伝達関数を表しており,伝達関数成分と冗長成分で構成されている.このモデルを1次伝達関数ごとに分解して含まれる成分の分析を行い,モデルからプラント伝達関数を抽出する.冗長成分は取り除かれ,プラントを簡単なモデルで正確に表現することが可能となる.
本論では,ディジタルシミュレーションにより動特性が既知のプラントの同定を行い,本手法の同定精度を検証した.そして,実プラントへの適用例として,蒸留プラントの同定結果を示した.

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© 2005 公益社団法人 化学工学会
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