抄録
吸着ヒートポンプ(AHP)に適した吸着材として,CHA型シリカアルミノフォスフェート(SAPO-34)に着目し,Si含有量による水蒸気吸着等温線の差異を評価し,FAM-Z02(Si含有量7.5 mol%のSAPO-34)について吸脱着特性,繰り返し耐久性などを評価した.FAM-Z02の水蒸気吸着等温線はS字曲線を描き,大きな温度依存性を示す.363 Kにおける吸脱着のヒステリシスはY型ゼオライトやシリカゲルに比べるとやや大きい.FAM-Z02は10万回吸脱着を繰り返しても吸着特性は変化せず,実使用に際し問題ないレベルの高い耐久性を有している.AHPをTL/TM/TH=283 K/313 K/363 Kの温度条件下で運転する場合,平衡論的にはFAM-Z02の有効吸着量差はY型ゼオライトに比べ約4.8倍,シリカゲルに比べ約3.8倍大きいことがわかった.