抄録
固体酸化物形燃料電池(SOFC)を用いた発電システムは,作動温度が高くシステム全体の熱容量が大きいうえに,電池に関する温度,圧力などの運転上の制約を有している.そのため,実用化には起動,停止時間などの運転・制御性に関する検討が要求される.本研究では,SOFC発電システム全体の動特性モデルを構築し,実機の起動・停止時のデータを用いてモデルの妥当性を検証するとともに,動的最適化手法を用いてシステムを最短時間で起動,停止する操作方法について検討した.その結果,動特性モデルは,系外への放熱,機器間での輻射伝熱などを考慮することで,起動・停止操作時におけるシステム各部の温度がセンサーレンジの5%以内で一致し,運転・制御性の検討に適用可能なモデルを構築した.最適操作については,検証後のモデルに動的最適化手法を適用することで,機器保護のための制約を満たしながら従来操作比で起動時間を28%,停止時間を67%に短縮する操作プロファイルを得た.さらに,SOFC発電システムの特徴を活かしたWSS(Weekly Start Stop)運転について,エネルギー消費量を最小にする操作指針も得た.