化学工学論文集
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プロセスシステム工学,安全
固体酸化物形燃料電池発電システムの動的モデル構築と最適操作法
小野 仁意宮本 均西浦 雅則野田 賢長谷部 伸治
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2005 年 31 巻 6 号 p. 421-434

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抄録
固体酸化物形燃料電池(SOFC)を用いた発電システムは,作動温度が高くシステム全体の熱容量が大きいうえに,電池に関する温度,圧力などの運転上の制約を有している.そのため,実用化には起動,停止時間などの運転・制御性に関する検討が要求される.本研究では,SOFC発電システム全体の動特性モデルを構築し,実機の起動・停止時のデータを用いてモデルの妥当性を検証するとともに,動的最適化手法を用いてシステムを最短時間で起動,停止する操作方法について検討した.その結果,動特性モデルは,系外への放熱,機器間での輻射伝熱などを考慮することで,起動・停止操作時におけるシステム各部の温度がセンサーレンジの5%以内で一致し,運転・制御性の検討に適用可能なモデルを構築した.最適操作については,検証後のモデルに動的最適化手法を適用することで,機器保護のための制約を満たしながら従来操作比で起動時間を28%,停止時間を67%に短縮する操作プロファイルを得た.さらに,SOFC発電システムの特徴を活かしたWSS(Weekly Start Stop)運転について,エネルギー消費量を最小にする操作指針も得た.
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© 2005 公益社団法人 化学工学会
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