2005 年 31 巻 6 号 p. 435-440
石油化学分野では,高度制御導入により,製品品質と生産効率の向上が進められているが,バッチプロセスでは,処方が複雑,かつ多品種少量生産が求められ,高度制御導入が困難である.本論文では,バッチ式反応器温度制御を対象とし,モデルベース制御の一手法であるGeneric Model Control(GMC)に基づく反応温度制御系の設計方法を示した.もともとGMCは位置型制御系であったが,実装を考慮しプロセス制御に好適な速度型制御則へ変換した.またジャケット温度計の位置を考慮した新たな補償項を導出し,既設制御系がPIDの場合のGMC調整係数との対応式を導出した.本論文で示す制御系の有効性を検証するために,特殊樹脂の重合反応プラントにおいて実液試験を実施し,既設のPID制御と比較した.その結果,GMC方式は反応温度偏差のばらつき抑制に好適であり,バッチ進行に伴うプロセス特性変化にも対応できることを検証した.