化学工学論文集
Online ISSN : 1349-9203
Print ISSN : 0386-216X
ISSN-L : 0386-216X
[特集]化学工学における計算機化学の応用
分子シミュレーションを用いた表面修飾メソポーラスシリカに対するメタノール/水混合ガスの吸着特性の研究
古川 信一青山 直樹西海 俊弘新田 友茂高橋 英明中野 雅由
著者情報
ジャーナル 認証あり

2006 年 32 巻 1 号 p. 18-24

詳細
抄録

1次元細孔をもつメソポーラスシリカへのメタノール/水混合ガスの吸着に対する表面修飾の効果を調べるために,(1)融解/冷却アルゴリズムを導入した分子動力学法を用いて,親水性表面(OH表面)およびトリメチルシリル基で置換した疎水性表面(FS表面)をもつメソポーラスシリカをモデル化し,(2)µVTアンサンブル配向バイアス・モンテカルロ法を用いて吸着平衡を計算した.OH表面をもつメソポーラスシリカモデルでは,298 Kにおける純ガスの吸着等温線が,メタノールはステップ状吸着,水は凝縮性吸着の特徴を示し,それぞれの実験値を良好に再現した.FS表面細孔では,水は圧力を上げても吸着しなかったが,メタノールは凝縮性吸着の特徴を示した.すなわち,トリメチルシル基による表面修飾は,水だけでなくメタノールとの親和性も低下させる.温度333 Kにおける等相対圧(各成分の相対圧が等しい)混合ガスの吸着等温線を計算したところ,純ガスでは水を全く吸着しなかったFS表面細孔が混合ガスでは凝縮性吸着機構でアルコールと水を同時に吸着した.また,この系の細孔内局所密度分布から,疎水性のCH3基が疎水表面に多く存在するが,細孔内部ではメタノールと水がほぼ均一な組成で存在することがわかった.

著者関連情報
© 2006 公益社団法人 化学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top