化学工学論文集
Online ISSN : 1349-9203
Print ISSN : 0386-216X
ISSN-L : 0386-216X
分離工学
ハニカム吸着剤を用いた燃焼排ガス中のCO2除去・濃縮システムの開発研究II
シミュレーションによる最適化の検討および実機システムの提案
松隈 洋介定形 薫垣上 英正井上 元峯元 雅樹安武 昭典岡 伸樹
著者情報
ジャーナル 認証あり

2006 年 32 巻 2 号 p. 146-152

詳細
抄録

地球温暖化の主要な原因の一つになっている,火力発電所からの排ガスに含有されるCO2を,ハニカム型ゼオライトを充填した回転式吸着塔を用いたTSA方式で除去・濃縮するシステムについて最適化のためのシミュレーション計算を行った.本研究では,各パラメータがCO2回収率と所要加熱量に及ぼす影響を検討することにより,最適条件の選定を行った.
この結果,14000 m3 (STP)·h−1の排ガスを処理する装置として,直径14.5 m,層高0.5 mのロータ回転型吸着層を用いると,最適操作条件として,加熱再生ガス温度:423 K,再生ガス流量:80000 m3 (STP)·h−1,回転数:3–4 rphが得られた.なお,若干性能は低下するが,上記仕様の装置で70000 m3 (STP)·h−1の排ガス処理も可能であることがわかった.
また,本システムにより排ガス中のCO2濃度(13.5%程度)を1回の操作で90%以上にまで濃縮できることがわかった.さらに,これらの結果に基づいて,処理ガス流量が180万m3 (STP)·h−1の時の実機の装置イメージを提案した.この場合の吸着層寸法は,直径14.5 m,層高0.5 mを26段たてに積重ねる構造とすると,全塔高は26 m程度と予想される.

著者関連情報
© 2006 公益社団法人 化学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top