2008 年 34 巻 4 号 p. 444-447
ナフサ分解プロセスから流出するガソリン留分を原料とする設計処理量1650 kg/hのシクロペンタン精製用内部熱交換型蒸留塔(HIDiC)のパイロットプラントを用いて,その省エネルギー性能,二酸化炭素排出量,運転コスト,償却年数について検討した.その結果,リボイラ負荷をゼロとしてHIDiCを操作した場合には,二酸化炭素排出削減量は56.6 kg/h(453 t/y)であり,従来型の蒸留塔と比較して63.5%の削減率が得られることが明らかになった.また,原油価格がUS$90/bbl(約68円/dm3)での省エネルギー効果のみによる償却年数は8年と試算された.本研究から,HIDiCは従来型の蒸留塔よりも温室効果ガスの排出量が少なく,それと同程度の償却年数を有することから地球温暖化防止に寄与する高効率な分離プロセスであることが明らかになった.