化学工学論文集
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[特集]水処理における分離プロセスの展開
浸漬型中空糸膜による洗車排水の凝集膜処理
浜田 豊三和木 敏則綿部 智一中塚 修志
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2009 年 35 巻 1 号 p. 111-116

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抄録

膜浸漬型外圧吸引ろ過法における消費エネルギーを評価するために,種々の酢酸セルロース(CA),酢酸プロピオン酸セルロース(CAP)およびポリエーテルスルホン(PES)製中空糸膜を作製した.ポリマー溶液に親水性の非溶剤を添加することで,最大膜孔径0.3–2.0 μmを有するCAPおよびPES製の精密ろ過膜を得ることができた.膜間差圧0.1 MPaでの純水透水速度8.6×10−5 m3·m−2·s−1,分画分子量150 kDaのCA製限外ろ過膜を用いて,膜浸漬型外圧吸引ろ過法による洗車排水の凝集膜処理を,処理量0.8 m3·h−1の条件下で1ヶ月間実施した.ろ過時間15 minごとに1 minの逆洗とバブリングを実施した場合,平均造水電力量は0.81 kWh·m−3となった.一方,分画分子量150 kDaの内圧クロスフロー用CA製限外ろ過膜を用いて,膜浸漬型外圧吸引ろ過と同じ条件下で,膜外置型内圧クロスフローろ過を行った.クロスフロー循環流量を透過流量に対して1倍とした場合,平均造水電力量は1.2 kWh·m−3となった.この結果から,膜浸漬型外圧吸引ろ過における消費エネルギーは,膜外置型内圧クロスフローろ過よりも少なくなることが示された.CAPおよびPES製精密ろ過膜についても,膜浸漬型外圧吸引ろ過法における消費エネルギーを,CA製限外ろ過膜と同様の実験条件下で測定した.平均造水電力量は,膜間差圧0.1 MPaでの純水透水速度1.0×10−4 m3·m−2·s−1のCAP膜を用いた場合0.78 kWh·m−3,膜間差圧0.1 MPaでの純水透水速度2.8×10−4 m3·m−2·s−1のPES膜を用いた場合0.69 kWh·m−3となった.純水透水速度の高い膜を用いた場合,消費エネルギーは減少した.

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© 2009 公益社団法人 化学工学会
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