化学工学論文集
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[特集]水処理における分離プロセスの展開
熱誘起相分離法により作製されたセルロースアセテート誘導体中空糸膜の膜特性に及ぼす両親媒性添加剤効果
渋谷 崇丸山 達生北浦 敏彦付 珣瑶Nasrul Arahman曽谷 知弘中塚 修志綿部 智一松山 秀人
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2009 年 35 巻 1 号 p. 117-121

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抄録
酢酸セルロースの一部をブチリル基で修飾したセルロースアセテートブチレート(CAB)を膜基材として用い,熱誘起相分離法(TIPS法)により中空糸膜を作製した.このときTIPS法に特有のair gapと呼ばれる製膜条件,および両親媒性高分子の添加剤が透水性や親水性等の膜特性に及ぼす影響を検討した.Air gap(TIPS装置口金と冷却槽との距離)の有無(0 mmあるいは5 mm)により,中空糸膜の構造および膜特性に大きな影響を及ぼすことが明らかとなった.Air gap 0 mmでは,中空糸膜外表面が多孔構造となったのに対し,air gap 5 mmでは,外表面に緻密なskin層(緻密な高分子層)が形成された.その結果,中空糸膜の透水性・機械的強度に大きな違いが見られた.次に添加剤としてポリエチレングリコール,高分子界面活性剤(Tetronic® 1307とPluronic® F127)を用いた結果,air gapの有無により膜特性に及ぼす添加剤効果に違いが観測された.ポリエチレングリコールは膜の開孔剤として働き,透水性向上に寄与した.また高分子界面活性剤は中空糸膜表面の親水化に有効であることが明らかになった.
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© 2009 公益社団法人 化学工学会
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