化学工学論文集
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[特集]環境・エネルギー・材料プロセスにおける熱工学の新展開
各種ゼオライトからの水蒸気脱着に及ぼすマイクロ波照射の影響
渡辺 藤雄炭谷 一樹柏木 強志高木 智也黄 宏宇架谷 昌信小林 敬幸
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2009 年 35 巻 5 号 p. 431-435

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抄録

デシカント調湿機の高出力化を目指した熱・マイクロ波照射型ハイブリッドデシカント調湿機を提案し,各種ゼオライトの熱・マイクロ波照射加熱によるゼオライトからの吸着水の脱着促進効果を検討した.
具体的には,2種のゼオライト(4A型,13X型(DF-9))に対して,マイクロ波照射型吸着装置を使用し,温度30°C,相対湿度40%の窒素ガス流通条件下(流速1.62–6.36 m/min)でのマイクロ波(800 W)照射加熱脱着実験ならびにマイクロ波出力50 W,温風加熱温度40–80°C条件下の脱着実験を行った結果,以下のことが明らかになった.
1)ゼオライトの種類によらずマイクロ波加熱では温風加熱以上の過剰脱着効果を認めた.この効果は難脱着性(4A型)および水蒸気大容量吸着性(13X型(DF-9))を有するゼオライトにおいて顕著であり,4A型,13X型(DF-9)のゼオライトにおけるマイクロ波加熱による脱着量は温風加熱による脱着量のそれぞれ2.22倍および2.59倍となる.この効果を温度基準で換算すると温風加熱脱着より13–43°Cの高温で脱着させたことに相当する.
2)脱着速度は細孔径の大きいゼオライトにおいて大きい.また,細孔径が同程度では吸着量の大きいゼオライトにおいて大きい.
3)過剰脱着効果の発現がマイクロ波加熱と同一の温風加熱温度上昇の実験結果により確かめられた.
4)脱着率は空気流速に対して最小値を示す.
5)温風加熱脱着および温風とマイクロ波の併用脱着における等脱着量基準の温度は併用脱着において低く,マイクロ波加熱脱着では最大16°Cの熱源温度低減効果を示す.

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© 2009 公益社団法人 化学工学会
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