化学工学論文集
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生物化学工学,食品工学,医用工学
リン酸塩による変旋光触媒作用を利用したスクロースバイオセンサーの開発
浅見 和広稲葉 英太田口 和久
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2010 年 36 巻 1 号 p. 51-56

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抄録

通常スクロース測定用酵素電極にはインベルターゼ(INV),ムタロターゼ(MUT),グルコースオキシダーゼ(GOD)の3種の酵素を使用するが,中でもMUTは非常に高価である.本研究では,MUTを使用しない安価な2種類の酵素から成る電極を作成し,スクロース濃度測定の可能性について検討した.グルタルアルデヒドを用いてGODを白金に架橋結合した酵素電極(GOD電極)と,GODとINVを併せて白金に架橋結合した酵素電極(GOD+INV電極)を作成した.スクロース測定の際,リン酸塩によるα-D-グルコースからβ-D-グルコースへの変旋光触媒作用を利用した.スクロース濃度測定の最適条件,正確な測定に必要な試料の量,グルコースの測定値への影響,得られる電流値と基質濃度の関係を求めた.スクロース測定において最適な測定温度は308 K,緩衝液中のリン酸濃度は0.5 mol·L−1であることがわかった.スクロース溶液にグルコースを混ぜた状態でGOD電極,GOD+INV電極それぞれで電流値を求めた.その結果,GOD+INV電極電流値からGOD電極電流値を差し引いた電流値はスクロース濃度と直線関係を示したため,GOD電極とGOD+INV電極の2つの電極を使用すればスクロースの定量が可能であることがわかった.

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© 2010 公益社団法人 化学工学会
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