化学工学論文集
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生物化学工学,食品工学,医用工学
組換えLST-03リパーゼの活性と安定性におよぼすカルシウムイオンの影響
河田 拓也井上 相祐安田 昌弘荻野 博康
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2010 年 36 巻 2 号 p. 143-148

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抄録

有機溶媒耐性微生物Pseudomonas aeruginosa LST-03株が産生するLST-03リパーゼは有機溶媒存在下でも高い安定性を示す.LST-03リパーゼの活性発現にはリパーゼ特異的分子シャペロンが必要であり,異種宿主で発現された組換えLST-03リパーゼにリパーゼ特異的分子シャペロンを添加することにより,組換えLST-03リパーゼをin vitroで活性化することが可能である.活性化された組換えLST-03リパーゼにカルシウムイオンを添加するとさらに活性が高まった.高活性の原因は組換えLST-03リパーゼへのカルシウムイオンの配位とそれに伴う組換えLST-03リパーゼの構造変化が原因であることが示唆された.一方,P. aeruginosa LST-03株の培養上清から調製されたLST-03 リパーゼと組換えLST-03リパーゼの有機溶媒安定性は大きく異なっていた.in vitroで活性化した場合,組換えLST-03リパーゼとリパーゼ特異的分子シャペロンは結合した状態であることから,組換えLST-03リパーゼに結合しているリパーゼ特異的分子シャペロンは,組換えLST-03リパーゼの有機溶媒安定性に大きく影響することがわかった.

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© 2010 公益社団法人 化学工学会
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