2011 年 37 巻 2 号 p. 120-124
化学反応プロセスを非定常な操作で行うことにより,定常操作を超える反応性を得られる可能性がある.2-プロパノールの脱水素反応をマイクロリアクターを用いて非定常な操作である温度周期操作で実施し,定常操作とその反応性の比較を行った.アルミニウム基板を陽極酸化した触媒プレートを用いて温度周期操作用のマイクロリアクターを作成し,温度周期操作の平均温度を150℃として変動周期を0.5 min,1 min,3 min,5 min,10 minと変動させて反応を行った.温度周期操作の結果,各周期において定常操作と比べて高い反応率が得られることがわかり,反応性は変動周期が大きいほど高くなることもわかった.また,反応器への供給電力を比較すると,同じ反応率を得るのに温度周期操作の方が定常操作に比べて供給電力を少なくできることがわかった.その減少率は変動周期が大きくなるほど大きいこともわかった.