2011 年 37 巻 2 号 p. 134-139
酢酸ビニルの連続乳化重合プロセスをFreund and Sundmacher(2008)が提唱した機能モジュール表現法により反応器の機能分析を行い,これを元に3つの混合区画をもつコンパートメント反応器を用いたプロセス強化について検討した.連続乳化重合反応器を,接触(Contacting),ラジカルによる活性化(Activating),酢酸ビニルモノマーの水相中での反応(Chemical reaction),ポリマー粒子の成長(Particle growth)の4つの機能モジュールに分解し,コンパートメント反応器の3つの区画を,Contacting-Activating(第1区画),Chemical reaction(第2区画),Particle growth(第3区画)の3つの機能ゾーンにそれぞれ対応させ,第1区画でパドル翼,第2,第3区画で回転円板を用いて乳化重合を行い,コンパートメント反応器の性能を評価した.その結果,このコンパートメント反応器を用いることで,高重合率と安定かつ単分散な粒子径分布が得られた.この性能評価結果から,プロセス強化のために,新たな多層構造を有する機能モジュール表現法を提案した.