化学工学論文集
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熱工学
超高速回転ベルカップ塗装機を対象とした塗着効率を低下させる因子の数値解析的検討
安村 光太郎齋藤 泰洋庄子 正和松下 洋介青木 秀之三浦 隆利小笠原 慎大黒 正敏城田 農稲村 隆夫
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2011 年 37 巻 3 号 p. 251-260

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抄録

塗着効率を低下させる重要因子を明らかにすることを目的に,高速回転ベルカップ塗装機を対象とした噴霧流解析を実施した.その際,最終的に被塗装面へ塗着する噴霧と塗着しない噴霧の粒子挙動の差異を詳細に比較することで,内部再循環流およびゴーストが塗着効率に及ぼす影響を検討した.数値解析には,Euler–Lagrange法を使用し,乱流モデルに標準型κ–ε二方程式モデルを用いた.内部再循環流について検討した結果,内部再循環流は粒子径の小さな噴霧粒子を巻き込みやすいことを確認した.内部再循環領域内において,中心軸に近い位置に存在する噴霧粒子は,最終的に被塗装面へ塗着しにくいことを確認した.ゴーストについて検討した結果,ゴーストはベルカップ周端から半径方向の外側に飛び出した粒子径の大きな噴霧粒子が,半径方向の内側に戻ることによって形成することを確認した.ゴースト内において,より内側に戻る噴霧粒子は,最終的に塗装面へ塗着しやすいことを確認した.以上の結果より,粒子径の小さな噴霧粒子に対しては内部再循環流が,粒子径の大きな噴霧粒子に対してはゴーストが塗着効率に関する重要因子であることを明らかにした.また,内部再循環流またはゴースト内における噴霧粒子の位置が最終的な塗着の可否に対して重要であることを示した.

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© 2011 公益社団法人 化学工学会
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