PACl(ポリ塩化アルミニウム)で凝集処理したフミン酸溶液の精密濾過の性能を,濾過速度の逆数と単位膜面積あたりの濾液量との関係を表す実験結果に基づいて決定した濾過ケークの平均ケーク比抵抗α
avによって評価した.pH 5では,PAClを過剰に添加すると,凝集フロックが再分散してα
avは顕著に増大した.シリンジフィルターによるフミン酸の初期透過率の実験データに基づき,フロックの再分散によって生じたサブミクロン粒子量の増加が,α
avの増大を引き起こすものと推察された.このことは,シリンジフィルター試験で測定した初期透過率が,凝集・膜濾過特性の簡易評価に利用できることを示す.また,pH 7での凝集操作やベントナイトの添加を行うと,凝集フロックが再分散しないPACl添加濃度域が拡がることによって,精密濾過性能を改善することができた.
抄録全体を表示