化学工学論文集
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コンクリートスラッジを利用した二酸化炭素排出量削減プロセス構築のためのカルシウム抽出速度測定
飯塚 淳本間 雅人早川 康之山崎 章弘柳沢 幸雄
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2012 年 38 巻 2 号 p. 129-134

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抄録

コンクリートスラッジ中のカルシウムを利用した二酸化炭素固定プロセスを想定し,そのための基礎データ取得を行った.想定するコンクリートスラッジを利用した二酸化炭素固定プロセスの主要操作は,水希釈と撹拌によるコンクリートスラッジ中のカルシウム分の抽出過程と,残渣分離後の抽出水と二酸化炭素との反応による炭酸カルシウム析出過程である.想定するプロセスの基礎データの取得を目的として,コンクリートポール/パイル工場から排出された実際のコンクリートスラッジを用い,カルシウム抽出速度に対する水希釈率(重量比で3–50倍)と一回の抽出操作時間(5–40 min)の影響を検討した.水希釈後水中のカルシウム濃度は上昇し,抽出液中に二酸化炭素を吹き込むことで炭酸カルシウムの析出が行えることを確認した.実験を行った範囲では,水稀釈率が20,一回の抽出処理時間が5 minの場合にカルシウム抽出効率が最大となった.二酸化炭素とカルシウム含有溶液からの炭酸カルシウム生成は,これまでに多くの研究例があり,また種結晶などの追加による加速が容易である.以上から,二酸化炭素固定のための安価なカルシウム源としてコンクリートスラッジを利用することが可能であると期待される.

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© 2012 公益社団法人 化学工学会
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