化学工学論文集
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カーボン多孔体Ca(OH)2担持化学蓄熱材の性能評価
渡辺 藤雄津曲 俊黄 宏宇架谷 昌信小林 敬幸坪内 修塩見 仁郎
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2013 年 39 巻 4 号 p. 378-383

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抄録

固体卑金属化合物を対象とする化学蓄熱材に関して,高反応性維持と体積変化に対応できる新規の多孔体担持型化学蓄熱材の製造コンセプトを示した.このコンセプトに基づいて作成したカーボン多孔体Ca(OH)2担持蓄熱材(Ca(OH)2-PSM)の空孔構造特性を評価した結果,Ca(OH)2-PSMはCaO/Cの質量比で2.18の高密度蓄熱材とすることができること,担持したCa(OH)2は未担持のカーボン多孔体が有する空孔直径0.15 µmおよび30 µmを中心とする空孔に薄層分散担持されることがわかった.
つぎに,この試料について繰返し蓄熱・放熱の発熱特性を指標とする反応性の評価,ならびに繰返し蓄熱・放熱後の試料の光学観察による形状長期安定性の評価を行った.発熱特性評価では化学蓄熱・化学ヒートポンプ(CHP)を模擬した充填層型反応器を用い60˚Cの飽和水蒸気条件下の水和反応における発熱の温度計測を行った.その結果,Ca(OH)2-PSMは15回の繰返しにおいても最大温度上昇値は維持された.これはCa(OH)2の空孔内薄層分散担持により凝集が抑制されたことによる.また,光学観察結果より繰返し水和・脱水反応後も蓄熱材粒子形状およびCa(OH)2担持状態とも初期のそれを維持すること,副反応が生じないことを認め,Ca(OH)2-PSMがCHP用高性能蓄熱材として機能することがわかった.

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© 2013 公益社団法人 化学工学会
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