化学工学論文集
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材料工学,界面現象
ダメージフリーマルチガスプラズマジェットによるポリイミドフィルムの親水化処理
宮原 秀一柴田 萌大下 貴也高松 利寛沖野 晃俊
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2013 年 39 巻 4 号 p. 372-377

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抄録

ポリイミドフィルムは電子機器の基板材料として昨今広く用いられるようになった.しかし,その表面は難親水性であるため,接着剤での貼合が容易ではなく,強固な接着力を得るためには親水化処理が必須である.その多くは化学的処理によるもの,もしくは真空プラズマを用いるものがほとんどであったが,本論文では,大気圧下で生成・照射が可能なダメージフリーマルチガスプラズマジェット発生源を開発し,これにより発生するアルゴン,窒素および酸素プラズマにより,ポリイミドフィルムの表面親水化実験を行った.効果の高かった窒素と酸素プラズマに関して,処理前後でのフィルム表面の結合状態変化をXPSで観測した.その結果,窒素および酸素どちらのプラズマでも,処理後のフィルム表面では,C=O結合の割合の増加が確認された.次に,大気遮断下で親水化処理実験を行った結果,窒素とアルゴンは大気開放条件に比べて親水化効果が低下したが,酸素はほぼ同じ挙動を示した.これより,窒素プラズマによる親水化には,生成されたプラズマで大気中の酸素がラジカル化される効果が寄与していると結論した.

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© 2013 公益社団法人 化学工学会
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