化学工学論文集
Online ISSN : 1349-9203
Print ISSN : 0386-216X
ISSN-L : 0386-216X
分離工学
N-ドデシルアニリンによる塩酸溶液からの白金(IV)の抽出平衡
土居 礼佳大榮 薫大島 達也馬場 由成
著者情報
キーワード: 溶媒抽出, 分離, 白金, 抽出平衡
ジャーナル 認証あり

2014 年 40 巻 6 号 p. 470-474

詳細
抄録

本研究では,脂肪族アミンよりもより弱塩基性の芳香族アミンを官能基とするN-ドデシルアニリンを抽出剤とし,各金属に対する抽出選択性を明らかにした.水相は塩酸溶液を用い,有機相はN-ドデシルアニリンのトルエン溶液を用いた.本抽出剤は白金(IV),パラジウム(II)および金(III)に高い選択性を示し,一方ベースメタルはほとんど抽出されなかった.特に白金(IV)の抽出は塩酸濃度領域によって異なる抽出錯体が抽出されていることがわかった.そこで,白金(IV)の抽出平衡に関与する化学種の影響を詳細に検討し,抽出平衡式の導出を行った.その結果,塩酸溶液からの白金(IV)は,陰イオン交換,あるいは窒素原子の配位による錯体形成によって抽出されることを明らかにした.それらの抽出平衡式および抽出平衡定数が以下のように求められた. さらに,各種の逆抽出剤を用いた白金(IV)の逆抽出について検討を行った.その結果,0.5 mol dm-3チオ尿素および0.5 mol dm-3チオ尿素+0.1 mol dm-3塩酸を用いることによって100%の逆抽出率が得られた.

Fullsize Image
著者関連情報
© 2014 公益社団法人 化学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top