2015 年 41 巻 2 号 p. 73-77
柑橘果皮に含まれる機能性成分の濃縮分離を目的とし,溶解度パラメータを指標とする分画法を整備した.まず,凍結粉砕した柑橘果皮より各種溶剤を用いて抽出実験を実施したところ,カロテノイドとしてキサントフィル5種とカロテン2種,クロロフィル2種,フラボノイド10種がそれぞれ同定された.各種抽剤による抽出率と溶解度パラメータの関係をプロットし,ガウス波形を用いて相関した結果,相関精度は対象とする物質に依存したがおおむね良好であった.さらに,得られた波形のピークトップを溶解度パラメータとして実験的に推定する方法論を適用したところ,上述した成分について溶解度パラメータの定量化に成功した.本法は,標準試薬が入手困難な場合の溶解度パラメータの実験的推定法として有効である.