2016 年 42 巻 4 号 p. 155-160
近年,燃焼を促進する手法としてマイクロ波重畳燃焼に関する研究が行われるようになってきたが,その燃焼促進効果について十分な検討はなされていない.そこで本研究では,マイクロ波による燃焼促進効果について調査するため,メタン–空気予混合燃焼火炎にマイクロ波を重畳し,NO濃度分布を測定するとともに,詳細反応モデルを用いた数値シミュレーションによるNO生成解析によりマイクロ波の熱的効果および非熱的効果の影響について検討を行った.実験結果から,燃焼火炎にマイクロ波を重畳することですべての条件においてNO生成量が増加し,特に温度依存性が高いZeldovich NO生成機構が支配的な当量比1以下の完全燃焼領域においてNO増加率が高いことが示された.解析結果から,マイクロ波の非熱的効果として反応速度が上昇した場合,NO濃度は減少する傾向にあることが示され,またマイクロ波の熱的効果として燃焼温度が上昇した場合,NO濃度は実験結果と同様に増加する傾向にあることが示された.これらの結果から,マイクロ波重畳燃焼における燃焼促進効果において,マイクロ波の非熱的効果の影響は小さく,マイクロ波の熱的効果の影響が支配的であることが示唆された.