化学工学論文集
Online ISSN : 1349-9203
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42 巻, 4 号
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編集ノート
粉粒体工学
  • 松坂 修二, 野口 敦史, 北嶋 士郎, 安田 正俊
    原稿種別: 報文
    2016 年 42 巻 4 号 p. 137-141
    発行日: 2016/07/20
    公開日: 2016/07/20
    ジャーナル 認証あり

    大気圧プラズマジェットから生成される正イオンや電子を用いて,粉体層内の粒子を荷電する実験を行った.ここでは,1 SLM(標準状態1 L/min)のヘリウムガスの供給によって有効荷電範囲を0.01 m2に設定した.誘電性粉体層(PTFE)の上層の粒子は数sで平衡帯電に達したが,下層の粒子は徐々に帯電し,1 minで定常値に近づいた.電荷は粉体層内を2 mm程度の深さまで移動し,上層より下層の粒子の方が平衡帯電量は大きくなることがわかった.また,電気抵抗があまり高くない粒子(マンガンフェライト)を帯電させることは難しいが,粉体層の下に誘電板を置くと,粉体層の最下層の粒子を荷電できることもわかった.

分離工学
  • 根本 康成, 飯塚 喜啓, 渡辺 克哉, 天野 佳正, 町田 基
    原稿種別: 報文
    2016 年 42 巻 4 号 p. 142-147
    発行日: 2016/07/20
    公開日: 2016/07/20
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,活性炭の細孔構造が酸化処理後の活性炭の金属陽イオン吸着におよぼす影響を調べた.活性炭は石油コークス(PC)を原料として調製し,得られた活性炭に残った硫黄が酸化されて金属陽イオン吸着に優位なスルホ基が生成するかについても検討した.水酸化カリウム(KOH)/PCの質量比1–3,賦活温度400–850°Cおよび賦活時間0.5–2.0 hの条件でPCをKOH賦活して活性炭を調製した.得られた活性炭の比表面積および総細孔容積はそれぞれ510–1,890 m2/gおよび0.25–1.07 cm3/gと広い分布幅が観測された.調製した活性炭および硫黄を含まない市販の活性炭を濃硝酸を用いて同一条件で酸化した.調製した酸化前の活性炭の比表面積の増大とともに酸化後の活性炭のNi(II)吸着量も直線的に増加し,比表面積が1,000 m2/g以上におけるNi(II)吸着量は3.5 mmol/gで飽和に達した.酸化した市販の活性炭は溶液の平衡pH 1においてNi(II)を吸着しなかった一方,調製した酸化活性炭はpH 1においてもNi(II)を吸着した.この結果から硫黄を含有する石油コークスを原料とすることで,表面の一部にカルボキシ基だけでなく,強吸着サイトであるスルホ基を有する酸化活性炭を調製できることが示唆された.

反応工学
  • 福村 卓也, 横田 真実, 長田 光正, 佐藤 和久
    原稿種別: 報文
    2016 年 42 巻 4 号 p. 148-154
    発行日: 2016/07/20
    公開日: 2016/07/20
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,高温アルカリ水溶液条件下でグリセリンから乳酸ナトリウムを合成する反応プロセスの構築を目的として,反応挙動におよぼす各種操作因子の影響を検討するとともに反応モデルを構築して速度論解析を行った.グリセリンとNaOHを反応物とした反応実験では,反応挙動におよぼす温度と初期グリセリン/NaOH濃度比の影響を明らかにした.また,乳酸ナトリウムを反応物とした反応実験も行い,乳酸ナトリウムの脱水反応,脱炭酸反応および炭素–炭素開裂反応が並列的に起こることを明らかにした.実験結果を基に詳細な反応モデルを構築し,速度論解析を行ったところ,モデルに基づく計算結果は実験結果を良好に表現した.さらに数値シミュレーション結果より,初期グリセリン濃度を初期NaOH濃度よりも高くして,温度を623 Kとすることで,短時間かつ高い選択性で乳酸ナトリウムを合成できることが示された.

エネルギー
  • 山本 剛, 岩間 佳穂, 今里 亮介, 朝熊 裕介
    原稿種別: 報文
    2016 年 42 巻 4 号 p. 155-160
    発行日: 2016/07/20
    公開日: 2016/07/20
    ジャーナル 認証あり

    近年,燃焼を促進する手法としてマイクロ波重畳燃焼に関する研究が行われるようになってきたが,その燃焼促進効果について十分な検討はなされていない.そこで本研究では,マイクロ波による燃焼促進効果について調査するため,メタン–空気予混合燃焼火炎にマイクロ波を重畳し,NO濃度分布を測定するとともに,詳細反応モデルを用いた数値シミュレーションによるNO生成解析によりマイクロ波の熱的効果および非熱的効果の影響について検討を行った.実験結果から,燃焼火炎にマイクロ波を重畳することですべての条件においてNO生成量が増加し,特に温度依存性が高いZeldovich NO生成機構が支配的な当量比1以下の完全燃焼領域においてNO増加率が高いことが示された.解析結果から,マイクロ波の非熱的効果として反応速度が上昇した場合,NO濃度は減少する傾向にあることが示され,またマイクロ波の熱的効果として燃焼温度が上昇した場合,NO濃度は実験結果と同様に増加する傾向にあることが示された.これらの結果から,マイクロ波重畳燃焼における燃焼促進効果において,マイクロ波の非熱的効果の影響は小さく,マイクロ波の熱的効果の影響が支配的であることが示唆された.

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