化学工学論文集
Online ISSN : 1349-9203
Print ISSN : 0386-216X
ISSN-L : 0386-216X
[特集]未来を担う環境化学工学
河川敷で発生する植物バイオマスの高温乾式メタン発酵特性
利谷 翔平 澤柳 薫鈴木 一弘周 勝寺田 昭彦細見 正明
著者情報
ジャーナル 認証あり

2017 年 43 巻 4 号 p. 224-230

詳細
抄録

豚ふん尿と稲わらの高温乾式メタン発酵における稲わらの代替有機物としての利用可能性を調べるため,河川管理で発生する7種類の草本系および3種類の木質系バイオマスの高温乾式メタン発酵特性を調査した.回分高温乾式メタン発酵における,有機物(VS)当たりのメタン(CH4)生成ポテンシャルは109±8.1–347±62 m3/t-VSであり,剪定枝が最も低く,稲わらが最も高かった.メタン生成ポテンシャルは草本系バイオマスの方が木質系バイオマスより高い傾向にあり,リグニン含有率の増加とともに減少する傾向が見られた.さらに,養豚が盛んな茨城県をモデルに,耕作放棄地(稲わら),河川(刈草および剪定枝)および公園・道路・果樹園(剪定枝)より発生するバイオマス量からメタン生成量を推定したところ,稲わら,草本系バイオマスおよび剪定枝でそれぞれ31.3, 1.68および1.42 m3/yだった.そこで,チガヤおよび剪定枝と豚ふん尿の混合基質の反復回分式高温乾式メタン発酵を実施した.その結果,メタンガス生成量は,チガヤおよび剪定枝でそれぞれ251±44および157±9.4 m3/t-VSであり,メタン生成ポテンシャルとほぼ同等のメタン生成を示した.したがって,チガヤと剪定枝は稲わらの代替バイオマスとして利用可能であることがわかった.

著者関連情報
© 2017 公益社団法人化学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top