2023 年 49 巻 5 号 p. 142-148
kLa値(酸素移動容量係数)は培養槽のスケールアップ指標として広く利用されており,その測定には従来から複数種の測定法が用いられてきた.中でも静的方法は菌体培養を必要せず,測定条件を柔軟に変更でき,繰り返し測定も容易であるため非常に簡便である.一方で従来のガルバニ電池式溶存酸素センサーでは応答遅れが顕著で,実培養で使用されるような高いkLa値の培養条件の評価が不可能であった.今回,応答速度が顕著に速い光学式溶存酸素センサーを用いることで300 h−1以上の高いkLaが静的方法により測定可能であることを明らかにした.さらに全くの同条件(同一容器,同一撹拌条件など)にて各種のkLa測定法との相関付けを行った.