2023 年 49 巻 5 号 p. 129-132
液体クロマトグラフィーや超臨界流体クロマトグラフィーにおけるクロマトグラムや,破過曲線の計算には,通常,移流拡散モデルによる偏微分方程式に基づく解法が採用されている.今回,著者らはこれとは別に,化学工学的物質収支と熱力学平衡論に基づくクロマトグラムおよび破過曲線の計算法を新たに開発したので報告する.この計算法では,溶質を系内に注入する際にインパルス入力とする際はクロマトグラムを,ステップ入力とする際は破過曲線をそれぞれ計算することができる.この新しい計算法は,吸着等温式の変更も許容するものであり,化学工学熱力学的平衡論に基づくモデルとしてその応用展開が期待される.