化学工学論文集
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超音波乳化による液-液抽出装置の性能と特性
星野 照彦内山 三智男油川 博
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1984 年 10 巻 3 号 p. 351-358

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抄録

25kHzの超音波を照射して, 抽料を抽剤中に分散することにより界面積を飛躍的に増大し, 抽出速度を著しく促進する新しい液-液抽出装置を開発し, その抽出性能と特性を検討した。
MIBK-酪酸-水系を用いて, 容量係数に対する槽内滞留時間, 抽料の容積分率および超音波強度の影響を検討し, 容量係数の実験式を提案した.その結果容量係数は同じ系について多孔板塔で得られた値に比べて約40倍以上の大きな値を示した.
顕微鏡写真により粒径分布を測定して界面積を求め, この値を用いて容量係数から算出した総括物質移動係数は既往の値に比べてやや小さい値となった.この結果から, 超音波乳化による抽出速度の著しい増加は, おもに界面積の増大によることが明らかとなった.
さらに, 抽料の液滴のまわりに抽剤が同心球状に配置され, 非定常拡散によって被抽質が移動するという単純なモデルを用いて理論解析を行い, 実験結果と比較考察した.

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