向流移動層反応炉を用いて, 部分燃焼による余剰活性汚泥から可燃性ガス形態へのエネルギー回収について実験的に検討した.反応条件は, 空気比 (m) が0~1.0, 層入口ガス温度 (Tg, i) が600~800℃であり, 得られた実験結果から次のような点が明らかとなった.
生成ガス組成は, 空気比および層入口ガス温度に大きく影響されるが, ガス組成の主成分に関しては, 全実験範囲を通じてCO, CO2およびH2であり, N2ガスを除いた乾量基準で, これらガスの合計は全ガス量の約80vol%以上を占める.
乾燥余剰活性汚泥の単位質量あたりの生成ガス量 (G) は, 空気比の増加に伴って増加するのに対し, 生成ガスの高発熱量 (Hh) は逆に減少する.
エネルギー回収の尺度となるGとHhの積は, Tg, iに応じてあるmの値において極大値を示す.さらに, 本実験範囲で得られた乾燥汚泥から可燃性ガス形態へのエネルギー回収率の最大値は, 約35%であった.他方, ガスを含む揮発分へのエネルギー回収率は, Tg, iによらずm=0.2付近で極大値を示す.