1984 年 10 巻 3 号 p. 366-371
通常のイオン交換樹脂はその粒径が1mm以下であり, 固定層にそのまま用いると圧損が非常に大きい.そこで, イオン交換樹脂を結合剤と混合し, 140℃まで加熱し, 3~5mmの円柱形に成形した.この成形樹脂の触媒活性を未成形樹脂のものと比較するために, ギ酸エチルの加水分解を回分反応器で行った.
未成形樹脂の触媒活性に対する粒径の影響は通常の有効係数によって説明できた。一方, 成形樹脂の活性は成形樹脂そのものの粒径には依存しなかったが, 構成樹脂 (すなわち, 成形するとき用いた原料の樹脂) の粒径に依存した。成形樹脂の活性低下は16%であり, 構成樹脂の粒径には無関係であった.この活性低下の原因は構成樹脂間の空隙における拡散抵抗によるものではなく, 結合剤による構成樹脂表面の閉塞によると考えられる.これらの成形樹脂は粒子内拡散抵抗および圧損の小さい固定層充填用樹脂として極めて有用である.