化学工学論文集
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オクタデカン-CO2およびオクタデカン・エタン系の25℃, 40℃における高圧相平衡
大垣 一成塚原 逸朗片山 俊
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1984 年 10 巻 3 号 p. 372-376

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抄録

最近注目されてきている超臨界流体を利用した抽出分離の基礎的研究として, 溶媒成分にCO2, エタンを選び, オクタデカンを溶質成分とした各二成分系の高圧相平衡関係を, 各溶媒成分の臨界温度と溶質成分の融点を同時にはさんだ25℃および40℃で実測した.測定に用いた実験装置は新たに作製した流通方式であり, 平衡組成は重量分析法によった.各混合系の臨界軌跡を推算し, 各実験操作条件に対応する相平衡関係が固気, 気液, 液液いずれの異相間の平衡関係なのかを考察した後, 気液および液液の平衡関係に対しては両相に直接Soave-Redlich-Kwong状態式を適用して実験データの相関を試みた.一方固相を含む場合については, 固相に適当な仮定を置き, 流体相に対してのみSoave-Redlich-Kwong状態式を適用して相関した.いずれの場合もほぼ満足できる相関結果を得た.
本研究で取り扱った混合系では, 溶媒成分の臨界温度より低温の25℃における溶質成分の溶解度が超臨界温度におけるそれよりもかなり大きくなる圧力範囲の存在が確認できた.この特徴を利用した新しい分離技術の開発が期待される。

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