1984 年 10 巻 4 号 p. 461-468
活性炭による水溶性含窒素有機化合物-ジシアンジアミド (S1), メラミン (S2) およびp-フェニレンジアミン (S3) -の平衡吸着量の測定を行い, これらが通常の活性炭吸着の対象として用いられる吸着質と同程度の吸着性を有することを認めた.
つぎに, 吸・脱着速度に関して, 窒素トレーサー法による粒内吸着量分布の測定を行い, これと拡散方程式の解とを比較し, 粒内拡散機構について検討し, 次の知見を得た.1) 吸着過程の吸着量分布は拡散機構の相異を明瞭に示し, S2では細孔拡散・表面拡散並起, S1およびS3では表面拡散支配とみなされた.2) 脱着過程に対しても吸着過程の拡散機構がそのまま適用しうるが, 脱着過程におけるS1の表面拡散係数は吸着過程とほとんど変わらないのに対し, S2では吸着過程にくらべて0.1~0.3倍と小さくなった.