1985 年 11 巻 5 号 p. 542-548
以下に示すCa (OH) 2/CaO可逆熱化学反応を化学蓄熱に応用することを前提として, 本反応に対する反応速度論的検討を行った.
CaO + H2O 〓 Ca (OH) 2 + 104.2kJ/mol
CaOの水和およびCa (OH) 2の脱水の両反応実験は, 試料粒径<5μm, 反応温度356.2~723.2K水蒸気濃度1.5~15.7vol%の実験範囲において, ミクロ熱天秤による重量変化よりおのおのの反応速度を測定した.
その結果, 熱重量分析法によって得られたおのおのの反応実験結果はCaO・H2O*反応中間体の存在を仮定する複合反応の考え方に基づいてグレインモデルを適用することにより統一的に説明でき, それぞれの化学反応速度式は固体濃度および水蒸気濃度推進項に関していずれも1次で表されることが認められた.さらに, これら両反応の総括の反応速度定数は非線形で表示され, CaOの水和反応の場合には約473.2Kにおいて極大値を示すことなどが認められた.