1987 年 13 巻 3 号 p. 325-331
吸着分子-表面間の相互作用の影響が強く現れる希薄領域での吸着性気体の多孔質ガラス内表面拡散現象を解析するための新しい実験法を提案した.本実験法は, 擬定常透過実験と矩形波応答実験とからなる。矩形波応答実験に関しては, 無次元化した時間領域で, 矩形波入力幅と応答が最大になる時間との間に関数関係を見いだし, これをもとに有効拡散係数, Henry型吸着平衡定数, 表面拡散係数を求める簡潔な解析手順を考案した.上記方法の妥当性を検証するために, 温度を298K, 318Kの二点とし, Henry型の吸着平衡が成り立つと考えられている圧力領域で, 以下の吸着性気体について実験を行った.二酸化炭素, 亜酸化窒素, エタン, エチレン, プロパン, プロピレン, 1-ブテン, R-12, R-22, R-114.理論応答波形と実験より得られた応答波形とはよく一致し, また得られた物性値は妥当な温度依存性および値を示した.以上の結果は本実験方法の妥当性を裏づけるものであった。