抄録
β-ジケトン型の工業用抽出剤である LIX54 および LIX51 によるリチウムとナトリウムの抽出と, 中性配位子である TOPO (tri-n-octylphosphine oxide) との組合せによる協同効果について研究した.単独系では LIX51 系のみがリチウムの抽出可能であり, 抽出種は LiR (RH) および LiR 2 (RH) の混合物であり, その平均組成は LiR (RH) 1.3である.なお, ここでRHおよびRは各々抽出剤とそのアニオンを表わす.
LIX54 あるいは LIX51 と TOPO との混合抽出剤によって生成されるリチウム抽出種の平均組成は LiR (TOPO) 1.3であった. LIX51 単独系と LIX54-TOPO の混合系におけるリチウムの抽出係数はほぼ同じであり, それより LIX51-TOPO 混合系の場合の抽出係数が4.65×104倍大きい値を示した.
ナトリウムは LIX51-TOPO との混合系のみで抽出可能であり, 抽出種の平均組成はNaR (TOPO) 1.3であった.この系のリチウムの抽出能はきわめて大きく, またナトリウムとの分離係数も大きい.したがって, LIX51-TOPO の混合系によるリチウムとナトリウムの分離は容易である.