1989 年 15 巻 3 号 p. 604-610
相転換法により非対称ポリイミド膜を製膜し, 水-エタノール混合液のパーベーパレーション分離実験を行った.非対称膜は75℃でのエタノール90wt%水溶液に対するパーベーパレーション分離において, 透過流束1.29kg・m-2・h-1, 分離係数57の値を示した.この非対称膜によるパーベーパレーション分離を, オレイン酸または酢酸とエタノールとのエステル化反応に適用した結果, 酸とエタノールとのモル比が1 : 3および1 : 2の場合には, 生成水を除去したことによるエステル化反応の平衡のシフトにより, パーベーパレーション分離を伴わないエステル化反応の平衡転化率を大巾に上回り, ほぼ100%の転化率となることが明らかとなった.さらに, 膜分離を伴うエステル化反応プロセスのシミュレーションを行い, 膜透過流束および膜の選択性のエステル化反応に及ぼす効果について検討した.