1989 年 15 巻 3 号 p. 645-651
細孔の大きさをサブミクロンからミクロンの範囲で精密にコントロールてきる多孔質ガラス管膜を用いてO/Wエマルションのクロスフロー精密濾過を行い, 透過流束と濾過圧力, エマルションの管内線速度, 阻止率などの濾過条件および細孔径の関係を検討した.その結果, 透過流束には濾過圧力に対して分散粒子径Dpと膜の細孔径Dmの相対的関係すなわち, Dp>Dm, Dp~DmおよひDp<Dmにしたがって, 典型的な3つの異なるタイプか存在し, これらにゲル層の形成とその構造変化およびレイノルズ数が影響した.また50kPa前後の比較的低圧では膜による粒子分画が認められ濾液に漏洩する油分粒子の最大粒子径は使用した膜の平均細孔径を越えなかった.圧力が増加するとゲル層を形成する粒子に再配列ないしは部分的な変形圧密が生じ限界流束に移行した.しかし実験を通じて油滴粒子のコアレッセンスは観察されなかった.