1990 年 16 巻 4 号 p. 755-762
水性二相系における分配系の疎水性と, 分離物質の疎水性を簡便かつ定量的に評価する方法を検討した.水性二相系としてはpolyethylene glycol (PEG) /dextran (Dex), およびPEG/リン酸カリウム系を用いた。二液相系の相対的な疎水性の大きさを, 疎水性が既知の数種のアミノ酸の分配により評価し, これをHF (hydrophobic factor) と定義した.HFの相形成ポリマーの分子量, 濃度による依存性を定量的に相関した.アミノ酸, およびペプチドの疎水性は, それらの分配係数とHFとの比によって表すことができた.タンパク質に対しても同様の解析が可能で, タンパク質の分配係数とHFの比によって, タンパク質の表面疎水性, HFS (hydrophobic factor of solutes) を定義することができた.タンパク質表面と分配系間の疎水相互作用は, 等電点におけるタンパク質の分配係数に対して支配的に作用することが明らかにされた.