1993 年 19 巻 6 号 p. 1096-1104
液化ガスを溶剤とする2成分系共晶有機混合物の回分式晶析実験を行い, 晶析器内の結晶粒子群の平均粒径を測定するとともに, 濾過によって固液分離された湿り固体の母液の付着率を求めて, これを支配する因子について検討した.液化ガスとしてプロパン, クロロジフルオロメタン (HCFC22) を用い, 2成分系共晶有機混合物として, ベンゼン+シクロヘキサン系, p-キシレン+m-キシレン系およびp-キシレン+o-キシレン系を用いた.結晶粒子群の平均粒径は, フィードの液化ガスモル分率の増加により大きくなる傾向があり, ベンゼン結晶は100-230μm, シクロヘキサン結晶は100-120μmであり, またp-キシレン結晶は400-600μmであった.それぞれの平均粒径は結晶析出に伴う母液濃縮率の増加とともに指数関数的に減少した.一方, 濾過によって固液分離を行った結果, フィードの液化ガスモル分率の増加とともに湿り固体の純度は増加した.また, 母液および湿り固体の組成から母液の付着率を求めたところ, 母液の密度および表面張力と結晶粒子群の平均粒径から構成されるキャピラリー数との間に比較的良い相関性があることがわかった.