1993 年 19 巻 6 号 p. 947-955
殻物質をnmオーダーのコロイダルシリカとし, 芯物質を数μmの塩基性炭酸マグネシウム及び炭化ケイ素とする無機質殻マイクロカプセルを噴霧乾燥法で調製した.
マイクロカプセルからの溶出挙動に及ぼす懸濁液の分散方法及び芯物質中の塩基性炭酸マグネシウムの体積分率の影響を検討した.徐放特性は芯物質中の塩基性炭酸マグネシウムの体積分率が増すほど, また, 超音波乳化機による分散を行ったものはタービンミキサーによる場合よりも悪くなった.マイクロカプセルからの溶出挙動は拡散モデルで表すことができた.有効拡散係数は塩基性炭酸マグネシウムの体積分率が増すほど大きくなり, これはマイクロカプセル殻の細孔容積の増大に対応した.分散方法による有効拡散係数の相違はマイクロカプセル殻の細孔容積とは関係づけられなかった.