化石燃料資源の枯渇化が懸念されている状況において, 埋蔵量が豊富で安定供給が見込まれる燃料として, 石炭の重要性が高まっている.石炭をエネルギー源として利用する際, 最も良く用いられる方式は, 微粉炭燃焼法であるが, その利用にあたっては, 環境汚染物質の排出を抑制するクリーン化技術が望まれている.微粉炭燃焼に伴って発生する環境汚染物質のうち, 窒素酸化物 (NOx) は, 排煙処理においてコストを要し, また除去性能も極端に高くできないため, 燃焼調整によって生成を抑制する低NOx燃焼技術の開発が, 極めて重要になっている.
本報では, 微粉炭の低NOx燃焼技術の概念と研究開発動向を体系的に取りまとめると共に, 最も新しい低NOx燃焼の概念である低空気比での燃焼の促進と還元炎の早期形成・強化を利用する技術について評価・検討した.本概念に基づく新型のバーナ開発, 燃料再注入法および二段燃焼法の強化を組み合わせることにより, 微粉炭燃焼に伴って発生するNOxを大幅に低減できることが, 明らかになった.