化学工学論文集
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微粉炭燃焼フライアッシュからの微量有害金属元素の溶出性の経時変化に与えるpHの影響
上宮 成之宮田 真小島 紀徳
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1994 年 20 巻 6 号 p. 865-871

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抄録

微粉炭燃焼灰層にpH=3, 5, 7, 11の緩衝溶液を連続的に透過させ, 灰中に微量含有されている有害金属元素であるAs, Mo, Pb, Vおよび溶出液にアルカリ性を付与するMg, Caを対象として溶出挙動を検討した.対象としたほとんどの元素において, 実験開始1時間後までは急速な溶出がみられたが, その後はわずかな溶出にとどまった.これは石炭灰中の各元素の形態 (化物種) により, 溶出が容易な部分と困難な部分の存在を示唆している.溶出率はXt/ (1+Yt) なる時間tの関数で定式化することができた.なお, この式でXは初期最大溶出速度を, X/rは最大溶出率を表す.すべての元素において初期最大溶出速度および最大溶出率は, 浸出液のpHが低くなるにつれ大きくなった.なかでも, pHによらずAs, Moは高い溶出率を示した.Asなどの揮発性の高い元素は, 石炭の燃焼過程において灰表面に凝集するため, 容易に溶出すると考えられる.また, 初期溶出速度と最大溶出率に相関関係がみられた.

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